だいたいの初心者は先に進みたがるものです。

例えばCからAmへのコードチェンジができるようになっただけで、何か曲が弾きたいと思うようになります。元々何か弾きたくて始めたのですからそう思うのは無理もありません。

しかしある程度できる人は初心者にこう言います。「それだけじゃダメだよ、△と□も覚えなきゃ」
すると初心者はそれを覚えます。そしてまたできる人にこう聞くのです。「△と□はできるようになった」
するとできる人はまた答えます。「そしたら○と◇も覚えないと…。」もうこの繰り返しです。

ここでのできる人と言うのはギターを弾けるというのは当たり前ですが、ギターを教えると言う事においては少し勉強が足りないかもしれません。かく言う自分もたいしたもんではないですが、初心者に『何が足りない』と言うのだけでは満足できないもんなんです。

僕がギターを覚え始めた頃、兄貴にこう言われました。「お前、Fが弾けないんだったら弾かなきゃいいじゃん」つまり兄貴はギターをカラオケ代わりに使う人でギターを極めるというタイプの人ではなかったのです。ですから、ギターを弾かずに歌えばいいと言いたかったんでしょう。

ある程度ギターを弾けるようになって、誰かにギターを教えて欲しいと言われた時、最初は僕も前述した『できる人』のように、あれもこれもと押しつけるやり方で教えていましたが、たいていはギターに飽きてやめていきました。

ある時、面倒臭くなって「適当にストロークすればいい」と言ったんです。すると、初心者は本当に適当に弾きやがりました。けれどそれが別におかしくはないんです。少し楽譜とは違うわけですがそれはそれでよいのです。

よくよく考えてみると自分も楽譜通りに弾いているかというとそうではなく、好きなところで好きなように弾いているのですから「そういうことか」と悟ったわけですね。

もちろんのこと正しく弾けるに超したことはありません。ただ自分がギターを独学で覚えていく過程において、最初は適当にそれらしく弾き、一定の所まで弾けるようになったら楽譜通りに修正していった事を覚えています。

まずは適当でもおかしくない程度のレベルで一通り弾けるようになること、それが一曲丸まるではなく数小節のフレーズだっていいんです。一通り弾けるようになって初めて「自分は弾けるようになったんだ」と言う満足感を味わうこと、それが大切なんだろうと思うわけです。

難しく考えたら、とことん難しくなります。急がば回れと言うように、ちょっとやそっと端折っても最終的に弾けるようになること。それが重要なのです。声を大にして言いましょう『ストロークは適当でOK!』。

一方で、アルペジオやスリーフィンガーの場合、慣れてきたら大体わかってきますがそれまでは適当でいいということはありません。せめてベース音は正しく、できればギター譜などを購入するなどして音符を読んで下さい。何曲かやっていく間にそういうことかと言う場面が来ると思います。
何故そうしているのかと言う部分が大切です。

楽譜などを見ると必ずしもそうとは限りませんがドシラソファミと音が下がっていったり、ドに戻るのにソラシとベース音が上がったりという事があります。ピアノでもそうですがこういったオカズをたくさん覚えることが上手に聞かせられる方法であり、単純にコードを鳴らせば良いと言うものではないと言うことを音楽を聞き、自分で演奏し学んでいって下さい。