コードチェンジのタイミングとは
多くの人がまずつまづくポイントとして、コードチェンジのタイミングがあげられます。どこでどうやってコードを変えればいいのか、それが問題になります。しかし、ここで解説している「弾き語り」について言えば、歌っている間に変化をつけるということなので、厳密に楽譜にあるようにコードチェンジをする必要はありません。
そして、そうではないと言いながら慣れてくるとちゃんと楽譜通りに弾けるようになってきます。
何故か同じになる動き
それは例えばオーケストラで見るバイオリン奏者の右手の弓の動きからもわかるように、すべての奏者が同じように上下(前後)に弓を動かしている様からもなんとなくわかってきます。
個人個人の弾き方があるとは言え不思議には思わないでしょうか?同じ曲を弾いているから同じだろうと言うのはおかしいと思うのです。
なぜなら、弦の上をなでるように弾くバイオリンなどはどちらから弾き始めても同じ音が鳴るはずなのです。なのに全ての奏者が同じような動きになるのです…。
これは意識して同じように弾いているのではなく、おそらく次の動作に移行するのに一番効率的な方法が皆同じという事なんだろうと思うわけです。つまり、何らかの方法・法則みたいなものがそこにはあって、その方法を実行するのに一番シンプルかつ、ちょうどよいやり方が皆同じなんだろうと思うわけです。
例えばCからG7に移行するコードチェンジがあったとして、どの指から動かそうが結果的に押さえるコードは決まっているのですから、薬指から動かそうが人差し指から動かそうがいいはずなのです。しかし、練習を重ねて行く間に気づくはず、言うなれば右手と左手のバランスみたいなものを。
どうすれば一番効率よく、一番早く、最も押さえやすいやり方なのかを自然と気づくはずなのです。
そして、おそらくそこにはアクセントとリズムが重要なポイントになっています。平坦な弾き方は素人にありがちな事です。しかし、ロボットではないのですからこの場面ではこんな感じの抑揚がほしいと思う所があるはず。
例えばサビの部分に移行する前などは自然と盛り上げて行くでしょうし、そうなら歌と同時にギターの伴奏も盛り上がっていくはずです。
ほとんどの人がそうでしょうが、ダウンストロークとアップストロークの場合、ダウンストロークの方が強く弾きやすいはずです。だったらより強いアクセントにはダウンストロークが用いられるはずです。
場合によっては、効果としてアップストロークのアクセントもあったりします。この違いや効果の演出は練習していく内に、あるいはオリジナルの音楽を聞き込む事で習得できます。そうこうしている内に、コードチェンジのタイミングはつかんでいけるはずなのですが…。
アクセントとリズム
一番重要なポイントとして、まずギター譜があって、そこにはリズムとアクセントそしてギターのコードが書かれています。そして、コードチェンジをする所に目的のコードが書かれていて、その部分のリズムを弾く際にはすでにコードチェンジを完了していなければならないと言うことが条件としてあります。
つまり、楽譜を見る時に大切なのは、その変えるべきコードが書かれている場所に移る時、どこからコードチェンジを始めれば間に合うかという事なのです。
そして、必ずタイムラグ(ズレ)はあります。例えばCからFに変える時にコンマ数秒の間、ギターの弦は開放弦を鳴らしている(あるいはどこも押さえていない)瞬間があると言う事です。これは上級者になりコードチェンジが素早くできるようになればなるほど短くなっていきます。
タイムラグがありながらも、それをそうと感じさせないようにコードチェンジをする事が重要なのです。
1小節分の長さ | 解説 | |||||||||||||||
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C | G | 変えるべきコードのポイント | ||||||||||||||
100 | 200 | 300 | 400 | 1小節を4分割 | ||||||||||||
50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 50 | 1小節を8分割 | ||||||||
25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 25 | 1小節を16分割 |
A | B | 始 → |
完 | コードチェンジのイメージ |
上の表の「解説にあるように、1小節を4分割したもの、8分割したもの、16分割したものを用意しました。
1小節の間にC→Gにコードが移行していく場合の解説です。一番はじめのCはすでに押さえている状態から弾き始めていると思って下さい。
まず、解説欄にあるコードチェンジのイメージ欄にある「A」のポジションを{0~25}((100の1/4で25))として、「B」のポジションを{225((200、つまり2拍目の25))}と数値化します(正確には{200~225})((1小節を4分割した時、Bの位置は200~225と言う意味))。左から順番に数字を足していってもらうと上の欄の分割数の少ない欄の数字になります。
上記表でCからGにコードチェンジをする場合{325}の場所までにコードチェンジを完了している必要があります。その為には{275}のポジションあたりでコードを変え始め、{275~299}までの間に変えるべき指を移動しつつ{300}になった時「G」を押さえていなくてはいけません。
しかし注意して欲しいのは、ここで分割したのはわかりやすく説明するためであって、これは音符の分割とイコールではないのです(4分割≠4分音符、8分割≠8分音符)が、基本的な考え方は同じと考えて間違いでもないだろうと思います。ただコードチェンジの始動から完了までの時間はなるべく短い方が良く、もしくは短く思わせるように弾く方が良いのです。
〇〇ビートと出てきたように、リズムを正しく刻むと言うのはとても大切です。その為にはアクセントも重要になってきます。1拍目、3拍目など曲に合うアクセントがあると思うのでそれを意識しつつリズムをキープすることがある意味コードチェンジの滑らかさにも繋がり、タイミングを理解できるようにもなってくるのです。
どうすれば速くコードが変えられるか
1つには、無駄な動きを極力控えると言うのがあるかと思います。他でいくつか例をあげて説明しますが、例えばC→Amの場合、薬指だけ動かせば良いのですが、慣れない内はいったんCを押さえていた手を全部離してしまって、そこから新たにAmを作るといった不要な動作をしてしまいがちです。
こういったものを改善していけばコードチェンジは円滑に行われるようになるはずです。
その為に、次に来るコードと今押さえているコードのどこを押さえていれば早く変えることができるかの先読みが必要になったりもします。例えば、CからA7などはまだ中指は押さえたままでいいのがわかると思いますが、CからE7等へ移行するコード進行があった場合は一旦指が全部離れてしまうので、どこを起点に押さえるかがキモになります。
コードのポジション移動量を少なくする
これは例えば、Fコードフォームの状態でCを押さえる((8フレットのFコードフォーム))よりも、開放弦を含むローコードでCを押さえた方が速く正確に押さえられるでしょうし、何かしらの理由があって3フレットバレーのFコードフォームであるGを押さえている状態からCへコードチェンジする場合などに、Fコードフォームのまま8フレットバレーに持って行くよりも、そのまま3フレットバレーでAコードフォームのBを押さえた方が速いはずです。これは開放弦を含むローコードのCを押さえるよりも速いだろうと思います。
ただバレーが続くと握力が無くなってきたりするので、そのあたりはうまく調整が必要です。
このように、その時々の状態によってどうすれば速くコードチェンジが行えるかを考えて、自分なりの結論を持っていることが重要です。そして、とにかく色んな曲を演奏してみてその曲のコード進行を勉強することも重要になります。
コード進行は1曲1曲何かしら違ってもキー(調)が同じであれば出てくるコードは似通っていたりもします。そうするとそのキーの時はこういったコードが出てくるはずだというような予測みたいなものを立てられるようになります。
Aと言うキーであれば、Bmが出てくるかF#mか、はたまたG#mかDやEであったりも出てくるかもしれないというような、このかもしれないと言うのが案外重要で、その時にどのポジションのコードを押さえれば上手くコードチェンジができるかを考える道標となるわけです。