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メジャーなディストリビューション
情報は、distrowatch.comから引用・翻訳しています。
最終バージョンは2021/12/24((2024/05/22 update))までのものとします。ベースになっているLinuxでIndependentとあるのは、それが独立した系統のLinuxであると言う意味です。最終バージョンがローリングリリースとあるものは、バージョンごとのアップデートがあるというのではなく日々更新されれば配信されるような形のものです。
Ubuntu
最終バージョン: 24.04 LTS noble(2024-04-25)
公式サイト: https://www.ubuntu.com/
ベースになっているLinux: Debian
デスクトップ環境: GNOME, Unity
Ubuntuは、完全なデスクトップLinuxオペレーティングシステムで、コミュニティと専門家の両方のサポートにより自由に利用できます。Ubuntuコミュニティは、Ubuntuマニフェストに謳われている、ソフトウェアは無料で入手できるべきである、ソフトウェアツールは、人々がそのローカル言語で、どんな障害があっても使用できるべきである、そして、人々がどんな方法でもソフトウェアをカスタマイズし変更する自由を持つべきであるという考えに基づいて構築されています。「Ubuntu」とは、アフリカに古くから伝わる言葉で、「他者に対する人間性」という意味です。Ubuntuディストリビューションは、Ubuntuの精神をソフトウェアの世界にもたらしているのです。
LinuxMint
最終バージョン: 21.3 virginia(2024-01-10)
公式サイト: https://linuxmint.com/
ベースになっているLinux: Debian, Ubuntu
デスクトップ環境: Cinnamon, MATE, Xfce
Linux Mint は Ubuntu ベースのディストリビューションで、多くの便利なカスタムツールとオプションですぐに使えるマルチメディアサポートを備えたクラシックなデスクトップ体験を提供することを目標としています。また、カスタムデスクトップとメニュー、いくつかのユニークな設定ツール、ウェブベースのパッケージインストールインターフェースを追加しています。Linux Mint は Ubuntu のソフトウェアレポジトリと互換性があります。
MX Linux
最終バージョン: 23.2 libretto(2024-01-22)
公式サイト: https://mxlinux.org/
ベースになっているLinux: Debian, antiX
デスクトップ環境: KDE Plasma, Xfce
MX Linuxはデフォルトのデスクトップ環境をXfceを使用してエレガントで効率的なデスクトップとシンプルな構成、高い安定性、堅実なパフォーマンス、中程度のフットプリントを組み合わせるよう設計された中量級のオペレーティングシステムです。
現在、最もポピュラーで一番注目されているディストリビューションです。
Arch Linux
最終バージョン: ローリングリリース
公式サイト: http://www.archlinux.org/
ベースになっているLinux: Independent
デスクトップ環境: Cinnamon, Enlightenment, GNOME, KDE, LXDE, MATE, Xfce
Arch Linux は、有能な Linux
ユーザーをターゲットに独自に開発された、x86_64に最適化されたLinuxディストリビューションです。ホームグロウンパッケージマネージャである
'pacman'
を使い、最新のソフトウェアアプリケーションのアップデートを提供し、依存関係を完全に追跡します。
ローリングリリースシステムを採用し、ArchはCDイメージやFTPサーバーからインストールすることができます。デフォルトのインストールは強固な基盤を提供し、ユーザーはカスタムインストールを行うことができます。さらに、Arch
Build System
(ABS)は、新しいパッケージのビルド、ストックパッケージの設定変更、Arch
Linuxユーザーリポジトリを通じた他のユーザーとのパッケージの共有を容易にする方法を提供します。
Gentoo Linux
最終バージョン: ローリングリリース
公式サイト: http://www.gentoo.org/
ベースになっているLinux: Independent
デスクトップ環境: AfterStep, Awesome, Blackbox, Enlightenment, Fluxbox, GNOME,
IceWM, KDE Plasma, LXDE, MATE, Openbox, WMaker, Xfce
Gentoo Linuxは広範囲に利用できて高速に動作する、 x86、PowerPC、UltraSparc、Alpha対応の、完全にフリーな、パワーユーザー用にチューンナップされたLinuxディストリビューションです。他のディストロとは違って、Gentoo LinuxにはPortageと呼ばれる先進的なパッケージ管理システムがあります。PortageはBSDのportsに由来した真のportsシステムですが、Pythonベースで、依存関係の認識、洗練されたパッケージ管理、(OpenBSDのような)「fake」インスール、パスのサンドボックス化、安全なソフトウェアの削除、システムプロフィール、バーチャルパッケージ、設定ファイル管理などなど、数々の先進的な機能が満載です。
Slackware Linux
最終バージョン: ローリングリリース(2024-05-21)
公式サイト: http://www.slackware.com/
ベースになっているLinux: Independent
デスクトップ環境: Blackbox, Fluxbox, FVWM, KDE, WMaker, Xfce
Patrick Volkerding氏によるSlackware Linuxの正式リリースは、使いやすさと安定性という2つの目標を最優先して設計された先進のLinuxオペレーティングシステムです。伝統的な感覚を保ちながら、最新の人気ソフトウェアを含み、柔軟性とパワーとともにシンプルさと使いやすさを提供するSlackwareは、すべての世界の最高のものをもたらします。1991年にリーナス・トーバルズによって開発されたUNIXライクなLinuxオペレーティングシステムは、現在、世界中の何百万人ものユーザーと開発者の貢献によって恩恵を得ています。Slackware Linuxは、デスクトップワークステーションからマシンルームサーバーまで、あらゆる用途に対応する完全な機能を備えたシステムを、新しいユーザーにも経験豊富なユーザーにも提供します。Web、FTP、電子メールサーバはもちろんのこと、一般的なデスクトップ環境も幅広く用意されており、すぐに利用することができます。開発ツール、エディタ、ライブラリも充実しており、追加ソフトの開発やコンパイルも可能です。
Debian
最終バージョン: 12 bookworm(2023-06-10)
公式サイト: http://www.debian.org/
ベースになっているLinux: Independent
デスクトップ環境: AfterStep, Awesome, Blackbox, Cinnamon, Fluxbox, flwm, FVWM,
GNOME, i3, IceWM, ion, JWM, KDE, LXDE, LXQt, MATE, Openbox, pekwm, Ratpoison,
WMaker, XBMC, Xfce
Debianプロジェクトは、フリーなオペレーティングシステムを作るという共通の目的を持った個人の集まりです。このオペレーティングシステムは
Debian
と呼ばれています。Debianシステムは現在、Linuxカーネルを使用しています。LinuxはLinus
Torvaldsによって始められた完全にフリーなソフトウェアで、世界中の何千人ものプログラマによってサポートされています。もちろん、人々が欲しいのはアプリケーションソフトウェアです。つまり、文書の編集からビジネスの運営、ゲーム、さらなるソフトウェアの作成に至るまで、やりたいことを成し遂げるのを助けるためのプログラムなのです。
Debianには5万を超えるパッケージ(コンパイル済みのソフトウェアで、あなたのマシンに簡単にインストールできるような形式にまとめられているもの)が付属しており、そのすべてがフリーです。これはちょっとした塔のようなものです。ベースとなるのはカーネルです。その上にすべての基本的なツールがあります。次に、コンピュータで実行するすべてのソフトウェアです。塔のてっぺんにあるのがDebianで、すべてが一緒に動くように注意深く整理し、組み合わせています。
Fedora
最終バージョン: 40(2024-04-23)
公式サイト: https://getfedora.org/
ベースになっているLinux: Independent
デスクトップ環境: Awesome, Cinnamon, Enlightenment, i3, GNOME, KDE Plasma,
LXDE, LXQt, MATE, Openbox, Pantheon, Ratpoison, Xfce
Fedora Linux(旧Fedora、旧Fedora Core)は、コミュニティがサポートするFedora
Projectによって開発され、Red
Hatが所有するLinuxディストリビューションです。Fedora
Linuxは、フリーでオープンソースライセンスの下で配布されるソフトウェアを含み、そのような技術の最先端になることを目指しています。
Fedoraは、革新に重点を置き、新しい技術を早期に統合し、上流のLinuxコミュニティと密接に連携していることで定評があります。Fedora
Linux のデフォルトのデスクトップはGNOME
デスクトップ環境で、デフォルトのインターフェイスはGNOME
Shellです。KDE、Xfce、LXDE、MATE、Cinnamonなどの他のデスクトップ環境も利用できます。
Fedoraプロジェクトは、Fedoraスピンと呼ばれるFedoraのカスタムバリエーションも配布しています。これらは特定のソフトウェアパッケージで構築されており、別のデスクトップ環境を提供したり、ゲーム、セキュリティ、デザイン、科学計算、ロボット工学などの特定の関心を対象としています。
openSUSE
最終バージョン: 15.5(2023-06-07)
公式サイト: http://www.opensuse.org/
ベースになっているLinux: Independent
デスクトップ環境: Cinnamon, Enlightenment, GNOME, IceWM, KDE Plasma, LXDE,
LXQt, MATE, Xfce
openSUSEプロジェクトは、SUSE
Linux社をはじめとする企業がスポンサーとなるコミュニティプログラムです。あらゆる場所でのLinuxの利用を促進するこのプログラムでは、完全なLinuxディストリビューションであるopenSUSEに無料で簡単にアクセスすることができます。
openSUSEプロジェクトは、openSUSEを誰でも簡単に入手でき、最も広く利用されているLinuxディストリビューションにすること、オープンソースのコラボレーションを活用してopenSUSEをLinuxの初心者および経験豊富なユーザにとって世界で最も使いやすいLinuxディストリビューションおよびデスクトップ環境にすること、開発およびパッケージ化プロセスを劇的に簡素化してオープン化し、openSUSEをLinux開発者およびソフトウェアベンダにとっての選択肢のプラットフォームとすることを主目的にしています。
2021年 話題になったディストリビューション
Pop!_OS
最終バージョン: 22.04(2022-04-25)
公式サイト: https://system76.com/pop
ベースになっているLinux: Ubuntu, Debian
デスクトップ環境: GNOME
Pop!_OSは、カスタムGNOMEデスクトップを搭載したUbuntuベースのLinuxディストリビューションです。Pop!_OSは、ユーザーが仕事に集中できるように、デスクトップ上の散らかりを最小限に抑え、気が散らないように設計されています。このディストリビューションは、Linuxコンピュータの小売業者であるSystem76によって開発されています。
EndeavourOS
最終バージョン: gemini(2024-04-23) / ローリングリリース
公式サイト: https://endeavouros.com/
ベースになっているLinux: Arch
デスクトップ環境: Budgie, Cinnamon, GNOME, i3, KDE Plasma, LXQt, MATE, Xfce
EndeavourOSは、Arch
LinuxをベースとしたローリングリリースタイプのLinuxディストリビューションです。このプロジェクトはAntergosの精神的後継者となることを目指しており、Archをベースに簡単なセットアップと設定済みのデスクトップ環境を提供します。
EndeavourOSにはオフラインとオンラインのインストールオプションがあります。オフラインのインストーラーである
Calamares はデフォルトで Xfce
デスクトップを使用します。オンラインインストーラは、ほとんどの一般的なデスクトップ環境を含む、オプションのソフトウェアコンポーネントをインストールすることができます。
Manjaro Linux
最終バージョン: 安定版(stable)(2024-05-21) / ローリングリリース
公式サイト: https://manjaro.org/
ベースになっているLinux: Arch
デスクトップ環境: Awesome, bspwm, Budgie, Cinnamon, GNOME, i3, KDE Plasma,
LXQt, MATE, Openbox, Xfce
Manjaro Linuxは、Arch Linuxをベースにした高速でユーザーフレンドリーなデスクトップ向けオペレーティングシステムです。主な特徴として、直感的なインストールプロセス、ハードウェアの自動検出、安定したローリングリリースモデル、複数のカーネルのインストール機能、グラフィックドライバを管理するための特別なBashスクリプト、デスクトップの幅広い設定可能性などが挙げられます。
Manjaro LinuxはXfceをコアデスクトップオプションとして提供し、さらに KDE、GNOME、上級ユーザ向けの最小限のNetエディションを提供しています。コミュニティがサポートするデスクトップも利用可能です。
Garuda Linux
最終バージョン: ローリングリリース
公式サイト: https://garudalinux.org/
ベースになっているLinux: Arch
デスクトップ環境: bspwm, Cinnamon, GNOME, i3, KDE Plasma, LXQt, MATE, Recbox,
UKUI, Wayfire, Xfce
Garuda Linux は、Arch Linux
オペレーティングシステムをベースにしたローリングディストリビューションです。Arch
Linuxとは異なり、Garuda
Linuxには簡単にインストールできるグラフィカルインストーラ(Calamares)と、システムを管理するための高度なグラフィカルツールが付属しています。
Garudaはパフォーマンス指向のディストロで、パフォーマンスを向上させる多くの微調整が施されています。多くの調整には、カスタムメモリ管理ソフトウェアとともに、パフォーマンスCPUガバナーであるzramを使用することが含まれます。Garuda
Linuxは、Timeshiftバックアップユーティリティを含むシステムの安定性を提供するために努力しています。
elementary OS
最終バージョン: 7.1 horus(2023-10-03)
公式サイト: https://elementary.io/
ベースになっているLinux: Debian, Ubuntu
デスクトップ環境: Pantheon
elementary OSは、Ubuntuベースのデスクトップディストリビューションです。より興味深い機能としては、Pantheonと呼ばれるカスタムデスクトップ環境と、Photos, Music, Videos, Calendar, Terminal, Filesなどの多くのカスタムアプリがあります。また、EpiphanyウェブブラウザやGearyメールのフォークなど、おなじみのアプリも含まれています。
Zorin OS
最終バージョン: 17.1(2024-03-07)
公式サイト: https://www.zorinos.com/
ベースになっているLinux: Debian, Ubuntu
デスクトップ環境: GNOME, Xfce
Zorin OSは、UbuntuをベースにしたLinuxディストリビューションで、特にLinux初心者向けに設計されています。Windowsのようなグラフィカルユーザーインターフェースを持ち、Windowsにあるものと同様のプログラムを多く備えています。Zorin OSはまた、ユーザーが多くのWindowsのプログラムを実行できるようにするアプリケーションを付属しています。このディストリビューションの究極の目標は、Windowsに代わるLinuxを提供し、WindowsユーザーがLinuxのすべての機能を複雑化することなく楽しめるようにすることです。
各Linuxの要求スペック
Distro | CPU | RAM | HDD |
---|---|---|---|
Ubuntu | 2GHz DualCore | 4GB | 25GB |
LinuxMint | 1GHz 32or64bitCPU | 2GB | 20GB |
MX Linux | modern i686 Intel or AMD processor | 1GB | 6GB |
Arch Linux | x86_64 | 512MB | 2GB |
Gentoo Linux | i486 or later | 256MB | 2.5GB |
Slackware Linux | 486 processor | 64MB | 5GB |
Debian | 1GHz Pentium | 512MB | 10GB |
Fedora | 2GHz dualCore | 2GB | 15GB |
openSUSE | Pentium4 1.6GHz | 1GB | 1.5GB |
Pop!_OS | 64-bit x86 | 2GB | 20GB |
EndeavourOS | ((記載なし)) | 2GB | ((記載なし)) |
Manjaro Linux | 2GHz processor | 2GB | 30GB |
Garuda Linux | ((KDEが動くぐらいという話があるので64bit 1GHzぐらいのDualCoreぐらいのCPU)) | 4GB | 30GB |
elementary OS | Intel i3 or DualCore 64bit CPU | 1GB | 15GB |
Zorin OS | 1GHz DualCore | 2GB | 15GB |
WindowsXP | AMD Athlon 64/Pentium 4 | 256MB | 1.5GB |
WindowsVista | 800MHz | 512MB | 20GB |
Windows7 | x86_64 1GHz later | 1GB | 16GB |
Windows11 | x64 1GHz DualCore | 4GB | 64GB |
要求スペックだけでは判断できない
上記、最小構成と思われる要求スペックを調査しました。ほとんどの場合、デュアルコアを要求しており、32bit、64bitのバージョンもあるものの2022年現在の状況から考えると、Core2Duo以上のCPU、またRAMは記載してある倍の容量以上が望ましいと考えられます。
OSが動作するために2GB必要ということは、それ以外のアプリケーションを動作させるためにRAMに空きがある方が良いわけであり、これは他のOS同様、多ければそれだけ余裕ができると言うことでもあるので、使用するアプリケーションが利用するRAMも考慮して増設するべきだと思います。
HDDについては、ほとんどが要求する空きを持っているかと思いますがRAM同様に利用するアプリケーションの容量によって更に空きが必要になり、またSSD等を利用するのが他のOS同様に耐久性、静音性、速度等も含め良いと思います。
特に定位置に置いて使うデスクトップは良いとして、持ち運びをするノートPCに対してはHDDよりSSDに特に優位性と安全性の軍配が上がると思います。
リストの最後にWindowsの要求スペックを記載しましたが、これらを利用されている方はご存知のように、たとえ要求スペックが低くてもそれが快適かは別の話だと理解して頂けると思います。最低限これぐらいあれば動くというだけで特にRAMが少なくなれば仮想メモリ((HDDをメモリとして使う))等が動作して、回転するメディア((CD/DVDドライブあるいはHDD等))は圧倒的に遅いですからシステム全体がそのスピードに引っ張られて遅くなるのは当然のことになります。
しかし遅いながらも動作はします。それは重さとは少し違います。
Windowsをひきあいにして
WindowsVistaの頃からWindowsはたくさんメモリを積んでド派手に行こうぜ路線になったので、多くのユーザーが標準2GBのRAMを増設して4GBにしてみたり、デスクトップをクラシック表示にしたり、とにかく軽くしなければいけませんでした。そのためXPを使い続けVistaを飛ばして7にするようになった経緯もあります。
Windows10で言うと、通常の利用ぐらいの環境であれば2GB~4GB無いぐらいのRAMをOSが利用します。そこにブラウザを立ち上げた場合4GBしか積んでいないとブラウザが動作するためのRAMが不足してしまいます。
もちろん仮想メモリがあるので動かないわけではありませんし、不要になったメモリは開放されていくので完全に足りないというわけではありませんが、こういった理由から8GB推奨とよく言われたりもします。
しかし、実際の所8GB積んでいたとしてもその半分程度をOSが使うわけですから重めのアプリケーションを利用している場合、更にそれを複数開いている場合はやはり快適な環境であるとは言えない事もあります。
これらから、8GB以上16GBはRAMを積んでおけば安心であるといわれつつ、最近では16GBでも足りずに32GBや更に倍の64GB、究極な人では100GB超えのRAMを積む人もいるといいます。
これらはどういうアプリケーションを使うかで変わります。例えばFPSゲームをしながらその様子をYoutubeで配信して、更に別のモニターでブラウザも開き情報を検索するというような使い方をしている人がいれば、それは通常の使い方とは言えませんがありえない話でもありませんから32GBや64GBのRAMが必要であるというのもご理解頂けるであろうかと思います。
デスクトップ環境について
ほとんどのディストリビューションは、コアになるLinuxにデスクトップをGUI表示するためのデスクトップ環境(DE: desktop environment)が用意されており、これらによって重くも軽くもなるような特性があります。
Windowsは固定されたGUIに、WindowsAeroのような効果を与えられているわけですが、このようなものをすべて含んでデスクトップ環境があります。
Gnome、Unity等は重いデスクトップ環境です。逆に軽いデスクトップ環境としてはLXDE、Xfce、MATE等があります。MacOSやWindows11のようなデスクトップ環境を利用したい場合はヘビーウェイトなデスクトップ環境を、WindowsXPのようなシンプルな作りであればライトウェイトなデスクトップ環境を利用するという具合です。
Linuxの場合そのほとんどが10年ぐらい前のPCの構成であればデスクトップ環境が重いとされながらも普通に動作すると思います。より快適に利用するためには必要とされる要求条件よりも高性能なPCを利用するべきであると言うだけの話なのです。
古いPCや一部のノートPCはRAMの最大容量が4GBまでとなっていたり、交換・増設ができなかったりするようなものもありますから、古くても8GBぐらいは積めるようなPCなら特別問題はないだろうと思います。
例えばUbuntuはGnomeとUnityがデスクトップ環境として用意されていますが、これだけでもubuntuが重いディストリビューションであると判断できます。
更にLinux初心者、あるいは幅広くユーザーに対応するためにバックグラウンドで動くプログラムも多いと思われます。重いデスクトップ環境に更に動作するプログラムも多いという事で、Ubuntuを動作させるためには比較的新しいWindowsが快適に動作するPCが必要になるだろうと思います。
またこういったデスクトップ環境では透過やアニメーション等が加えられたりしているのでGPUもCPUに内蔵されているものではなく拡張用のグラフィックカードを用意する必要があります。デスクトップPCで利用する場合は、ほとんどがグラフィックカードを増設できるために問題はありませんが、ノートPCで利用する場合は内蔵グラフィックはグラフィックカードに比べてかなり弱いので、なるべくリリースが新しいCPU、またはそれらを積んでいるノートPCを選ぶ必要性が出てきます。
例えば、モバイル版のCore i5-4200Mでは内蔵グラフィックにIntel
HD4600というのが入っていますが、GeForce 9800GTXぐらいの性能しかありません。G3D
Markでそれぞれ626pt、627ptです。
同じぐらいの時期に発売されたデスクトップ向けのおなじみGeForce
GTX750が3405ptなので、ノートPCの内蔵グラフィックはデスクトップの半分までもいかない1/5程度なのです((ものによって変わることもありますがデスクトップ用のグラボのおおよそ半分程度に達するかどうかの性能です))。おそらく今現在最新・最高峰であろうGeForce
RTX3080 Tiが26635ptとなっています。念の為に記載しておきます。
こういった理由から特に理由がないのであればLinuxはデスクトップでRadeon系のグラフィックカードの増設を利用する方が、そのデスクトップ環境をふんだんに利用できるわけです。しかし、intelで言う第3世代(Ivy Bridge、2012年~)以降のCPUであれば激重のディストリビューションで無い限り普通に利用することはできると思います。
現在ではSSDもあれば、そこそこ高速なCPUもあるわけですから、内蔵グラフィックが多少遅くてもカバーできますし、Windows等に比べて動作しているシステムプログラムも小さいので全体的には軽いはずです。
それでも重いという場合は、軽いディストリビューションを利用すれば良いだけです。ただしそれはデスクトップ画面の美しさとトレードオフになります。Windowsで言えばWindows10からXPに変えるような感じです。
Windowsでは、同じWindowsながら違うバージョンになりますが、Linuxではバージョンは同じでデスクトップの環境が変わるだけです。
複数のデスクトップ環境が用意されているディストリビューションではどんなデスクトップ環境を選べばよいか?
これはだいたいの所、KDE PlasmaかGnomeのいずれかをまず試してみるべきであろうと思います。軽いのはKDE Plasmaの方が軽いと思いますが1GBか、1.3GBかぐらいの違いなのでほぼ同じであると思っても差し支えありません。
もし重めな作業をする場合はより軽い環境で同じアプリケーションを使用する方が何かとはかどります。このいずれもが重い場合は、Xfce、LXDE(LXQt)、MATEがあればそれだけで軽くなるはずです。おおよそ、KDE、Gnomeの半分強ぐらいのメモリ使用量になるのではなかろうかと思います。
2024年の再編集している現在から見ると、Gnomeはだいぶ軽くなっています。軽量なものと変わらないと言うと言い過ぎ感はありますが、アイドル状態で何もアプリケーションを立ち上げていない状態なら使用メモリは1GBを切っているのではないかと思います。
Firefoxを開いて2GBあるかないかぐらいで、色々作業をしていくともう少し増えますが、これらはWindowsVistaぐらいの性能のPCであればまぁまぁいけるぐらいの感じです。
比較的軽めな作業が主である場合は、カスタマイズ性も高くやり方次第では画面を広く使えるのでKDEもよいですし、Gnomeも案外広く使えるので解像度の低いノートPCなどではこのいずれかがおすすめです。
デスクトップなどで画面が広く使える場合は、上下にパネルやバーが表示されてもなんら問題ないので、CinnamonでもUnityでもなんでもいけるはずです。近頃では、スタック型((ウィンドウがWindowsの様に重なるタイプ))だけではなく、タイル型の配置のものもあり、これらはデスクトップ環境の中でもウィンドウマネージャーの違いでもあるのですが余ったスペースを有効に使えます。
自由にレイアウトを変えながら、余すことなく画面を利用することができます。しかしこれはある意味慣れも必要で、キーボードだけで操作できる点もノートPCなどで有利ではあるのですが、ノートPCはだいたいが画面が狭いので、かなり上級者向けの機能でもあるかと思います。
大体の場合は、スタック型の重ねて表示するので問題はないかと思います。
またLinuxは仮想デスクトップが作れて簡単に切り替えができるので、ノートPCなどでは仮想デスクトップを切り替えて画面いっぱいで使う方法も良いかと思います。これらはWindowsでもできますがLinuxは、より洗練されています。
個人的にはGnomeの方が好みではあるのですが、使い勝手はKDE Plasmaの方が良いように思います。